3. 西が選んだパートナー

　ジェイエスティの副社長・村瀬恒雄は、起業の時からの西のパートナーだ。
　村瀬は、ギャンブルには滅法強く、一銭も持たずにパチンコ屋に行って、床に落ちている玉を拾い、大勝ちしたこともあるほどだ。西の作戦と村瀬の勝負強さで、ジェイエスティはどんどん大きくなったと言う社員もいる。

　村瀬が西のパートナーになったのも、また不思議な因縁があった。村瀬も学生時代にアメリカ留学の経験があり、西とはカリフォルニアで出会っている。村瀬はその時、１５０ドルを持ってラスベガスへ向かい、３０００ドルを勝ち取ってきた。日本円にして１００万円にもなる大金だった。

「そのお金、僕に投資しない？」
　ファーストクラスの飛行機で学校へ戻ってきた村瀬に、西はこう冗談を言った。その時は、２人とも西の言葉が現実のものになるとは思っていなかった。

　そして、偶然にも２人は、同じ会社に就職した。西が独立する時、真っ先に決めたのが、村瀬をパートナーにすることだった。

　村瀬は、独立の話を持ちかけられた時、カリフォルニアでの西が口にした冗談を思い出した。じつは、あの時のお金は、一銭も使わずに貯金していた。
「もしかしたら、この３０００ドルは、新しい会社を作るために神様がくれたものかもしれない」
　こうして村瀬がラスベガスで手に入れた３０００ドルは、そのままジェイエスティの資本金の一部になったのである。

　西は、留学時代に村瀬と出会い、後に彼を起業のパートナーとして選んだ。二人の偶然の出会いが、ジェイエスティの未来を切り開いたのだ。